大判例

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東京地方裁判所 昭和44年(借チ)6号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔決定理由〕一 本件申立の要旨は、

1 相手方上茂商店は昭和二二年五月二六日、別紙一記載の借地につき、所有者である相手方長光との間で期間を同日から三〇年、非堅固建物所有を目的とする地上権を設定し、同地上に木造瓦葺二階建店舗兼居宅(一階一〇、七五坪、二階五坪)を建築した。申立人は昭和二九年一月二三日相手方上茂商店から右建物を買受けた。

2 本件土地は国電中野駅南口大通りに面する商店街で、その附近は昭和二九年当時には木造建物が大部分であつたが、その後堅固建物が増加し、昭和四三年四月防火地域に指定され、現に借地権を設定する場合は堅固な建物の所有を目的とすることが相当となるに至つているが、申立人は借地条件の変更につき相手方両者に申入れたが協議が調わないので本件申立に及んだ。

というのである。

二 取調べた資料によれば右のとおりの事実が認められるので、本件申立はこれを認容すべきである。

三 附随の処分

1 借地条件の変更に伴い通常は借地期間を延長することが相当であるが、本件においては、土地所有者である相手方長光は相手方上茂商店との地上権設定契約締結の際、賃貸借契約との区別を知らずにこれをしたのであるが、その期間が昭和五二年五月二五日をもつて満了するので、その後は申立人と直接交渉により本件土地を直接賃貸するか、又は底地を申立人に買い取つてもらいたいと希望しており、申立人も地上権の期間満了後土地所有者と直接交渉を希望していること、また申立人は前記のとおり相手方上茂商店から本件借地上の建物を借地権付で買い受け、その際土地使用権原については何のとりきめもしなかつたというのであるが、かかる場合建物と共に地上権も譲渡されるのが通常であり、本件のように地上権者が自ら建物を譲渡した後、受取賃料(現在月七、七〇〇円)と支払地代(現在月六、〇〇〇円)の差額を中間利得している事例は異例のものであることを考慮すると、本件において地上権の存続期間を延長することは妥当ではないと考えられるので相手方の長光と申立人の右の意向に沿つて地上権の期間満了時に両者の直接交渉に委ねるため、借地期間の延長は、本件の附随処分としてはこれをしないこととする。

2 財産上の給付について、鑑定委員会は借地期間を五〇年延長することを前提とし、本件更地価格を二、二五三万五、七〇〇円(一平方米あたり三三万円)と評定した上、二一〇万円を相当としている。当裁判所も借地期間を五〇年延長することを前提とすれば右金額を申立人から土地所有者である相手方長光に支払わせることを相当と認めるが、本件においては前記のとおり借地期間の延長をせず、地上権の期間が満了する約八年後の直接交渉に委ねること、しかし借地期間が延長されないとしても、借地条件が変更されれば土地所有者が返地を期待し得る時期は事実上或程度延期され、またこれに伴つて底地価格も現実に減少を免れ難いと考えられるので、これらの点を考慮し右鑑定委員会の意見による金額の五〇分の八にあたる三三万六、〇〇〇円を申立人から相手方長光に支払わせることとする。相手方上茂商店については、本件借地条件変更により格別の不利益を受ける点も認められないので、申立人からの財産上の給付を命ずべき理由はない。

3 賃料について、鑑定委員会の意見は従前申立人が地上権者に支払つていた月額七、七〇〇円を基礎とし、借地条件変更に伴い、これを月額一万五〇〇円に改訂すべきであるとする。当裁判所も右意見に従い、申立人と地上権者である相手方上茂商店間の借地契約の賃料を月一万五〇〇円に改め、なお相手方上茂商店と相手方長光との間の地代については、地上権者が従来各当事者間の合意により得ている中間利得月額一、七〇〇円について、これを増減すべき理由はないと認められるので、右賃料増額に伴い月額八、八〇〇円とする。(白石悦穂)

一、借地

東京都中野区中野二丁目一〇六番五

宅地 68.29平方米(20.66坪)

二、借地契約

1 地上権設定契約

目的土地 右一の借地

土地所有者 相手方 長光光子

地上権者 相手方 合資会社上茂商店

目的 非堅固建物所有

成立 昭和二二年五月二六日

期間 成立の日から三〇年

現在の地代 一月六、〇〇〇円

2 賃貸借契約

目的土地 右一の借地

賃貸人 相手方(地上権者)合資会社上茂商店

賃借人 申立人

目的 非堅固建物所有

成立 昭和二九年一月二三日

期間 定めなし

現在の借賃 一月七、七〇〇円

以上

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